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11月末から12月まで米国出張に行って参りました。

GoogleやApple、Metaなどが本社をもつシリコンバレーでは、エンジニアなどのインドや中国からの移民が相変わらずおあく、現地小学校では「白人は何人いるの?」という質問があるくらい、アジア系家族が多くなっています。

移民一世として渡米してきたご両親のアメリカで生まれた移民二世の子供に対する教育熱は凄まじく、勉強だけでなく、STEAM、アート、体育など、すべての科目において秀でて欲しいと願うあまり、子供たちの親から受けるプレッシャーは多大で、

スタンフォード大学近くの高校では随分前だけれど、高校生の自殺が出て大きなニュースになりました。

現地での私立学校に子供を入れる親の熱は、さらに凄いもので、ある日系のハーフのお子さんは、私立学校での授業をこなしながら、日本学校のサタデースクール(補習校)からの宿題も山積みで、私はとても10歳に満たない子供に要求するには過大だと感じました

日本語の補習校は、日本の公立小学校が1週間かけてやることを土曜日の1日と宿題だけでカバーしようとします。

これを聞いただけで無理だと感じるのは簡単ではないでしょうか。日本に将来帰った時のために、日本の教育レベルについていけるように日本人学校はカリキュラムを組んでいるので、しょうがないかもしれませんが、これでは子供が可哀想だと、日本人補習校からドロップアウトしたり、そもそも補習校には行かせないという選択肢をとる、日系の親御さんもいます。

以上のように、ベイエリアの教育事情は日本よりも更に激しいという印象を受け、これはアメリカが移民の国であり、国民はいつでも新たな移民による競争に晒されていることへの危機感の現れかもしれません。シンガポールの友人も似たようなことを言っていました。シンガポールの資産は人材がすべてなので、国民はいつでも競争で精神が擦り減っていると。

他方、日本はどうでしょうか。移民の国ではないですが、受験競争の苛烈化は少子化に逆行して増しているように思われます。

日本はまだまだ国民総数が多く、日本語という言語に守られた市場があるので、そのパイを取り合うために日本人同士の競争があり、だからこそ英語は必然ではなく二の次です。これは恵まれたことである一方、

少子化がこのまま進めば国内のパイは減っていき、韓国のように海外のマーケに出ていかなければならない時代が来ます。

その時にバイリンガルの子供たちは引き続き外資と内資の橋渡しとして職にありつくことができますが、内需にしか頼れないモノリンガルの日本語スピーカーは、縮んでいく日本市場と運命を共にすることになります。

インターナショナルスクール含め、英語の重要性に気づいているご家庭は、その意味できちんとリスクヘッジが子供のためにできていると思います。

私個人は受験という将来の目標設定と、それに向かっての受験勉強も一定程度必要だと思っていますが、都内のSAPIXに一年生から通う子供たちを見ていると、学ぶということの内的動機が圧倒的に欠けていると感じざるを得ません。

何のために読み書き算盤をするのか、その理由を自分で理解しないまま、ただひたすらに学校と塾と親に言われた内容をインプットし、テストでアウトプットする。

これについて行ける子は良いですし、そういう子が受験競争でも勝っていきますが、そういう内的動機なしに従順に受験競争に適応し、勝ち抜いて行ける素質を持った子は、一握りではないでしょうか。そして、万が一有名校や東大に行けたとしても日本経済と共に沈む人材となる不安は残ります。

受験に一点突破の望みをかけるよりも、英語や、勉強する楽しみを教えてくれる教育環境にみ身をおく方が、リスクヘッジとしては適切なのではないかと思うのです。

1本足の椅子が不安定で、2本3本4本足の椅子の方が安定するように、

国際感覚においても、経済的ポートフォリオにおいても、日本だけでなく、海外の常識や視点を持つこと、日本以外に金融資産を持つことは、リスクヘッジとして妥当と思います。

日本の受験教育に没頭するご家庭に感じる不安はここからきています。

まとめとしては、アメリカの競争は英語というレッドオーシャンの市場で戦う子供達に苛烈な競争を貸しているが、ポートフォリオとリスクヘッジとしてはまだマシなのかなと感じる反面(例えばアメリカでの競争に負けても日本との橋渡しの仕事がまだある)、

日本の受験教育は子供を精神的に追いやるが、得られるメリットに比したリスクが大きすぎるのではないかと思うのです。

それぞれの国には固有の問題や事情がありますが、子供は親の誘導に頼らなければならない時も多いので、保護者様が是非、未来を見据えた情報収集や研鑽、そして子育てを目指してあげることが愛する子供のためになると思います。

長々と書きましたが、米国出張後に感じたことをまとめてみました。

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